仏教のことば:「四大(しだい)」

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四大(しだい)

四大(しだい)

地・水・火・風の四つの元素。


仏教で説く物質の構成要素のことで,地,水,火,風の4種をさす。
〈大〉または〈大種〉はサンスクリットの漢訳語である。
〈地大〉とは堅さを性質とし物質を保つもの,〈水大〉とは湿性をもつもの,〈火大〉は熱を性質とし成熟の作用をもち,〈風大〉は動作を性質とする。
これら四大のそれぞれの名称,性質,作用などについては,古代インドにおいて古くから諸説があり,また,仏教の中にも異説がある。
四大にさらに〈空大(くうだい)〉を加えて〈五大〉とすることもある。

出典 株式会社平凡社

西洋世界の源流となった古代ギリシャでは、
アリストテレスによって、地・水・火・風・エーテルの五大元素説が唱えられました。

同じように、東洋においても、
お釈迦さまが、地・水・火・風・空の五大を説いています。

パーリ原始仏典中部第62経「大ラーフラ教誡経」より

「尊師よ、呼吸に対して精神を集中する修行をどのようにして修習し、
どのようにして数多く行なえば、大きな結果があり、大きな利益がありますか。」

「ラーフラよ、内の、自身の、堅く、固体であり、執着されたもの、
すなわち髪、毛、爪、歯、肉、筋、骨、骨髄、心臓、肝臓、肋膜、
脾臓、肺、腸、腸間膜、胃の内容物、糞、またはその他のあるゆる内の、
自身の、堅く、固体であり、執着されたもの、これが内の地の要素といわれる。

この内の地の要素と外の地の要素とが地の要素である。

次に水の要素とはどれらであるか。

内の水の要素と外の水の要素とである。

ラーフラよ、内の水の要素とはどれらであるか。

内の、自身の、水、液体であり、執着されたもの、
すなわち胆汁、痰、膿、血、汗、脂、涙、膏、唾、はなみず、
関節滑液、尿、またはその他のあらゆる内の、自身の、水、液体であり、
執着されたものが、ラーフラよ、内の水の要素といわれる。

この内の水の要素と外の水の要素とが水の要素である。

次に火の要素とはどれらであるか。

内の火の要素と外の火の要素とである。

ラーフラよ、内の火の要素とはどれらであるか。

内の、自身の、火、火的なもの、執着されたもの、すなわち熟せしめるもの、
老いさせるもの、燃焼させるもの、食べ飲み噛み味わったものを消化させるもの、
またはその他のあらゆる内の、自身の、火、火的なもの、
執着されたものが、ラーフラよ、内の火の要素である。

この内の火の要素と外の火の要素とが火の要素である。

次に風の要素とはどれらであるか。

内の風の要素と外の風の要素とである。

ラーフラよ、内の風の要素とはどれらであるか。

内の、自身の、風、風的なもの、執着されたもの、すなわち上に行く風、
下に行く風、腹外の風、腹内の風、肢体を循環する風、
吸う息、吐く息、またはその他のあらゆる内の、自身の、風、風的なもの、
執着されたものが、ラーフラよ、内の風の要素といわれる。

この内の風の要素と外の風の要素とが風の要素である。

次に空の要素とはどれらであるか。

内の空の要素と外の空の要素とである。

ラーフラよ、内の空の要素とはどれらであるか。

内の、自身の、空、空的なもの、執着されたもの、
すなわち耳の孔、鼻の孔、口の門、
またそれによって食べ飲み噛み味わったものを呑み下し、
またそこに食べ飲み噛み味わったものがとどまり、
またそれによって食べ飲み噛み味わったものを下腹部より排泄するもの、
またはその他のあらゆる内の、自身の、空、空的なもの、執着されたものが、
ラーフラよ、内の空の要素といわれる。

この内の空の要素と外の空の要素とが空の要素である。

それが、『それはわたしのものではない。

わたしはそれではない。
それはわたしの自我ではない。』とこのように、
正しい智慧であるがままに見られるべきである。

このように正しい智慧であるがままに見て、
地・水・火・風・空の要素から厭離し、
地・水・火・風・空の要素からこころを離れさせるのである。」

これらは現代科学で言うところの、
元素や原子などの物質を指すのではなく、
世界を形成するところの元とされる形而上的な概念なのです。

四大聖地

1.ルンビニー – 生誕所:世界遺産
2.ブッダガヤ – 成道(悟り)所:世界遺産
3.サールナート – 初転法輪(初説法)所
4.クシーナガラ – 涅槃(入滅)所

インドを巡るツアーの中で、今も中高年を中心に人気があるのが、「仏跡巡り」のツアーです。
それらのツアーでは、ブッダ(釈迦)の生涯において重要となった「四大聖地」と呼ばれる場所が必ず含まれています。
「生誕の地・ルンビニー」「成道の地・ブッダガヤー」「初転法輪の地・サルナート」、そして「入滅の地・クシナガル」です。
ところがこの4カ所のうち、インドにはない所が一カ所だけあることをご存知でしょうか?

ブッダ生誕の地であるルンビニーは、インドの北に隣接する国、ネパールにあります。
ブッダが生きた時代が正確にはいつなのか、今でもよくわかっていません(ネットで調べても、紀元前600年代前半から紀元前300年代後半まで幅があります)。
もちろんのその時代が正確にわかったとしても、現代の国境とは当然ながら無関係です。
それにネパールにあるといっても、ルンビニーは首都カトマンズからは遠く、むしろ北インドから続く平原の一部にあり、インド国境からも10kmほどしか離れていません。
地理的にも文化的にも昔からインド圏の一部だったのでしょう。

仏典によれば、お産のために実家に里帰りをしようとしていたマヤ夫人がここで産気づき、のちにブッダとなるシッダールタを脇の下から産んだと言われています。
なぜブッダ生誕の地がここだとわかったかというと、ここからアショーカ王の石柱が発見されたことが根拠になっています。
仏教を保護したアショーカ王が石柱を建てた紀元前249年には、すでにここがブッダの生誕地であることが知られていたようです。
7世紀には玄奘三蔵もここを訪れています。
しかしやがてインドでは仏教が衰退し、1896年にドイツの考古学者よって石柱が再発見されるまで、この「生誕の地」は忘れ去られていたのです。
また石柱(と碑文)の発見は、それまで「伝説上の人物かもしれない」とされていたブッダが、実在の人物であることをほぼ証明しました。