仏教のことば:「老師(ろうし)」

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老師(ろうし)

学識ゆたかな高徳の師僧。
禅宗では僧堂の師家(しけ)のことをいいます。


日本では老教師、年長の僧侶。中国では年齢とは関係なく、学問のある人の敬称、先生。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」

お坊さんには様々な呼び方があります。

お坊さん(坊主)も一つですね。坊主という言葉も元々、坊の主という意味です。

「坊」について、禅学大辞典には以下のように書いてあります。

坊はもと境界を示す盛り土。転じて、区画された町、また町の区域の意。ひいて別当の建物。また房と通用して部屋の意。てら、僧の住居、僧坊。また僧舎の比隣するのを坊という。区院のこと。

坊は僧侶の住む建物。寺院。主が坊主です。そこからお坊さんとなったわけです。

ボウズっていうと、なんだか違う印象を受ける人も多いかもしれませんが、元々はこのような意味から来ている言葉なんですね。

語源を辿ると、その敬称の意味もなんとなく掴めると思うので、禅学大辞典などの辞書をひいて、調べてみるのもいいですね。

では、実際にどのような敬称を使えばいいのか、手紙を書く場合など悩むとの質問もあったので、一応私達が、手紙を書くときは、こんな敬称を使っているという事もお応えもしました。

しかし、それは必ずしも正解というわけではありません。宗派によっても敬称の捉え方が変わるものです。

また、その敬称にどのような意味を込めるかで、その真意は大きく変わります。

敬称自体も、元は形式上ではなく、その人とその人の間の敬いの気持ちから生まれてきたものだと私は考えています。

その気持ちが肝心な所。

だから、形式という外側だけでなく、中に意味を込めていく、中身を込めていく。そして、中身を込めるためにも、外側の本来の意味をよく知ることは大切なことなのだと思います。

つまり、語源を知ることや、今現在、どういう意味で使われているのかを知ることも大事なことなのでしょう。

日常、僧侶を呼ぶ場合、住職とか和尚が良く使われますが、宗派によって呼び方がちがいます。また漢字は同じであっても読み方が異なります。

 住 職

住職は住持職の略で、お寺を守るための住み込み専従僧侶です。お寺の代表者を指します。現在では、お寺が宗教法人であれば法律的な立場は代表役員となります。宗派によっては、庵主あんじゅ住持などとも呼びます。

 和 尚

和尚は梵語のオッジャーの音写で、意味は先生または師匠です。人々に接して教えを説く僧を指します。天台宗では「かしょう」、浄土宗・禅宗系統では「おしょう」、真言宗・法相宗では「わじょう」と読みます。律宗では発音は同じ「わじょう」でも鑑真和上のように和上と書きます。浄土真宗では使わない呼び名のようです。

 聖人  上人

学問と徳を兼ね備えた人、の意味です。日蓮宗でよく使う呼び方です。日蓮は大聖人、日蓮大聖人の六人の高弟は聖人、普通のお寺の住職はお上人と呼ばれています。真宗系統でも、親鸞聖人のように聖人を使い、上人よりも格が上と考えます。

 大 師

大師は偉大なる師、の意味で朝廷から高僧に与えられた称号です。日本で初めてこの称号を受けたのは、天台宗の最澄=伝教大師と円仁=慈覚大師です。866年のことです。大師といえば弘法大師の名が有名ですが、大師の称号を受けた僧はたくさんいます。宗派の開祖では日蓮宗の日蓮=立正大師、浄土宗の法然=円光大師、浄土真宗の親鸞=見真大師、曹洞宗の道元=承陽大師などです。

 国 師

大師に比べるとあまりなじみのない称号ですが、一国の天子の指南役(国の師)の意味です。大師同様、朝廷から与えられます。禅宗系統の僧侶に多いようです。

 入 道

入道は天皇などが仏門に入った場合に使う尊称です。後に武士で仏門に入った人をこう呼ぶようになりました。

 三 蔵

固有名詞のように思われるかも知れませんが尊称です。経・律・論に精通した人をいいます。
西遊記に登場するのは、玄奘三蔵法師です。

 菩 薩

本来は仏の道を修行している人をいいます。それから発展して仏様のように完成された人を○○菩薩と呼びました。よく知られているのは東大寺の大仏を造った行基菩薩です。

 阿闍梨

阿闍梨あじゃりは僧侶になるための修行の師となる高僧を指します。天台宗や真言宗で使われる呼び方です。

 老 師

阿闍梨と同様、指導する立場の僧の尊称です。禅宗系統で使われる呼び名です。年令には関係ありません。またその立場になくとも、手紙などで宛名の敬称として使われることもあります。師家しけや禅師ぜんじも老師と同様の意味です。

 最高責任者

宗派の最高責任者の呼び名はさまざまです。貫首かんしゅ管主かんす管長かんちょう長吏ちょうり門首もんしゅ門主もんす座主ざす院主いんしゅ化主けしゅなどがあります。門跡寺院では住職に相当する立場の僧を門主ともいいます。真宗系統では住職を院主と呼ぶ場合もあります。

 門 跡

門跡もんぜきは初め開祖の教えを継承する中心的な立場にある寺を指しました。後に皇族から僧侶になった人が代々入る寺を指すようになりました。
江戸時代には幕府によりかなり制度化され、宮門跡、親王門跡、摂家門跡、清華門跡などに分けられました。現在ではこの制度はなくなり門跡の名称のみが使われています。

 比 丘

比丘びくは男性の僧侶を指します。女性の場合は比丘尼びくにといいます。

 行 者

僧侶としての資格の在る無しにかかわらず、行をしている期間は行者です。日常的には、正規に得度をしていない人、あるいはときどき本業の合間に僧侶のような仕事をする人を指します。ただし修験道の開祖、役小角えんのおづぬのみ役行者えんのぎょうじゃと行者が尊称になっています。

ピッタリな敬称というのは、そういう風に各自、自然と付いていくものなのかもしれません。