仏教のことば:「悪事千里(あくじせんり)を走(はし)る」

悪事千里(あくじせんり)を走(はし)る

この諺は、悪い行いはすぐ世間に知れ渡る、という意味です。
『景徳伝燈録』に「好事門を出でず、悪事千里を行く」とあるのが、この諺のもとです。

好い事はなかなか世に知られないが、悪い事はすぐに広まる、世相です。
だからこそ、達磨大師は好い事を伝えるために、インドから遠く中国までやって来たのである、というのです。

「悪事」は悪い行い、「千里」は遠くかなたまでの意で広い世間のこと。

出典は北夢瑣言(ほくむさげん)で、「好事門を出いでず、悪事千里を行く」と記されています。

五代、後晋の宰相となった和凝(カギョウ)は、若いころ好んで色っぽい小唄を作っていました。
それが結構流行してました。
宰相になってから、彼は人に命じて作品を焼き捨てさせましたが、評判は消えることなく、
遠く契丹の人にまで名が知れ渡り、『艶歌宰相』と呼ばれました。

所謂【好事不出門、悪事行千里】士君子得不戒之乎
いわゆる【好事は門を出でず、悪事は千里を行く】。士君子(諸君)、之を戒めざるを得んや。

『五代』と言いますのは、唐末に興った五つの王朝を指します。
後梁(コウリョウ)、後唐(コウトウ)、後晋(コウシン)、後漢(コウカン)、後周(コウシュウ)をいいます。