仏教のことば:「愛別離苦(あいべつりく)」

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愛別離苦(あいべつりく)

会った者は、いつかは必ず別れなければならない時が来ます。
その別れの苦悩のことです。
四苦八苦というときの八苦の一つ。

【意味】
親子・きょうだい・夫婦など、愛する人と生別、死別するようになる苦しみのこと。
「愛別離苦」の語句の区切れは「愛別」と「離苦」ではなく、「愛別離」と「苦」です。
愛するものとの離別は苦しい、の意味になります。

「愛別離苦」とは愛する人や物と別れる苦しみです。

「会うは別れの始め」「会者定離(えしゃじょうり)」と言われ、
出会ったからには、どんなに愛する人とも、
最後は必ず別れて行かなければなりません。

江戸時代・化政文化を代表する俳人・小林一茶は、
晩年になって、ようやく待ち焦がれた子供が生まれました。

「さと」と名づけたその長女は、生まれて一年も経つと、
他の子供が持っている風車を欲しがったり、
夜空に浮かぶ満月を、「あれとって」とせがんだり、
たき火を見てきゃらきゃらと笑います。

そのかわいいかわいい一人娘の、あどけないしぐさをいとおしむ情景が、
一茶の代表作「おらが春」に描かれます。

ところがそんな時、突如、さとは当時の難病、天然痘にかかってしまいます。
びっくりした一茶、必死に看病しますが、さとはどんどん衰弱し、
あっという間にこの世を去ってしまいます。
茫然自失、深い悲しみが胸にこみ上げ、一茶はこう詠んでいます。

露の世は つゆの世ながら さりながら(小林一茶)

露の世は、露のような儚いものと聞いてはいたけれど……。
かわいい娘を失った悲しみは胸をうちふるわせ、
あふれる涙に、もはや言葉が継げません。
一茶の決してあきらめることのできないむせび泣きが聞こえてくるようです。

そして最後は、愛するすべての人と別れて、
自分が死んで行かなければなりません。