仏教のことば:「世尊(せそん)」

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世尊(せそん)

尊貴の人に対する尊称。

仏陀に呼びかける際に、弟子が用いた言葉。

仏弟子や在家信者が、「私は世尊のもとで梵行を修したいのです」というように、二人称として釈尊を呼ぶ場合にも使われます。

1.如来 にょらい (真理に従って完全な状態を得た人。
如=真理から来たという意味で如来)
2.応供 おうぐ (供養を受けるにふさわしい人) 阿羅漢
3.正遍知 しょうへんち 等正覚 とうしょうがく (正しく悟った人)
4.明行足 みょうぎょうそく(知恵と行為を備えた人)
5.善逝 ぜんぜい (完成した幸福な人。
善く逝く=彼岸と此岸を自在に行き来できる)
6.世間解 せけんげ (世の中のことをよく理解している人)
7.無上士 むじょうし(最高の人)
8.調御丈夫 じょうごじょうぶ (人を指導することに巧みな人)
9.天人師 てんにんし (神様と人間の師)
10.仏 ぷつ(めざめた人)
11.世尊 せそん(福徳ある人)

以上はいずれもお釈迦さまの代表的な呼び名で、6と7あるいは10と11を合わせて10種類とし、仏の十号と呼ばれます。
南伝仏教では如来を除く数え方もあるようです。

一般的には「お釈迦さま」とよく呼ばれますが、釈迦は古代インドの種族の名前です。
ゴータマ・シッダッタという呼び方のゴータマも種族の別名です。
シッダッタが名前で悉達多、悉達太子などと音写します。
名前の意味はすべての目的を達成したという意味で、待ちに待った子供が誕生した親の気持ちが感じられます。

釈尊は釈迦族の尊者という意味で、釈迦牟尼世尊の略です。
牟尼は聖者を意味します。
世尊は薄伽梵ばかぼんと同意です。

世界的に広く使われている呼び名は「プッダ」です。
古代インドでもゴータマ・プッダと呼ばれていました。
プッダは、めざめた人、真理を悟った人、などといった意味で、古代インドではお釈迦様以外の他の宗教者にも使われた呼び名です。
中国ではこれを仏という字で音写し、後に仏陀となります。
浮陀、浮屠、浮環、浮頑、浮図、仏図、仏駄、勃陀、仏大などの字をあてた経典もあります。
また金人という呼び方もあります。

お釈迦様のいろいろな呼び名は、弟子が増えるとともに、その存在も神格化して生まれたものです。

釈迦牟尼とは、釈迦族の聖者ということです。

「牟尼」は「無二」ともいって、地球上に二人とない尊い方ということです。

地球上では仏のさとりを開かれたのはお釈迦様ただお一人ですから、「釈迦の前に仏なし、釈迦の後に仏なし」といわれます。

王子として生まれたお釈迦さまには「シッダールタ(Siddhaartha-)」という名前が付けられました。
しかし、私たちが日頃親しんでおります「お釈迦さま」という尊称は、お釈迦さまのこの王子としての名前ではなく、「シャーキャ族出身の尊者」という意味で、「シャーキャ・ムニ(*sakya-muni-)」と呼ばれていたところから付けられたものです。
「シャーキャ」とは、インドの古典言語であるサンスクリット語でシャーキャ族のことを指し、「ムニ」とは、「聖者・尊者」を意味する言葉です。

仏教がインドから中国へ伝わった時に、サンスクリット語の音が漢字に置き換えられ(これを「音写(おんしゃ)」といいます)「シャーキャ」が「 釈迦(しゃか)」に、「ムニ」が「 牟尼(むに)」と写され「釈迦牟尼(しゃかむに)」と呼ばれました。
ここから日本では、「お釈迦さま」という尊称が使われるようになったと言われています。

日本や中国の教典の中では、シャーキャ族の尊者であることから「釈尊(しゃくそん)」、世にも希(まれ)なる尊者であることから「世尊(せそん)」という尊称がよく使われています。