仏教のことば:「三昧(さんまい)」

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三昧(さんまい)

心を平静にし、他念なく注意を一心に集中した状態。

サンスクリット,サマーディの音写。
三摩提(さんまだい)。
定(じょう)・等持(とうじ)と訳。
心を一ヵ所に定めて動かさず(定),平静に保つ(等持)こと。
仏教では禅定(ぜんじょう)と同様に重要視する。

仏教の修行において重要視される特殊な集中心。
〈ざんまい〉ともいう。
サンスクリットのサマーディの音訳で,三摩地(さんまじ),三摩提(さんまだい)とも音訳される。
意訳は等持(とうじ)あるいは定(じよう)。
禅定を修する際,ある一つの対象に対して,まっすぐ平等に働き(等持),他の対象に気が移ったり乱れたりしないこころの状態(定)をいう。
この意味から,勉強三昧,仕事三昧などというように日常用語として用いられる。

出典 株式会社平凡社

何かに熱中して余念のないことを三昧といいます。
勉強三昧とか仕事三昧というように使うのですが、放蕩三昧ほうとうざんまいが良く使われるので、心のおもむくままに熱中するようなことが強調され、三昧にはあまり良い印象は持たれていないようです。
しかし三昧は大事な仏教語の一つです。

三昧はサンスクリット語の音写で、原音はサマーディといいます。
もうちょっと正確な音写としては、三摩地さんまじ三摩提さんまだい三摩帝さんまだいなどがあります。

三昧は通常、正受しょうじゅとか、定じょう、等持とうじなどと訳されます。
正しく所観の事がらを受けるから正受、心を定めて気移りしたり乱れたりしないから定、心の浮き沈みを離れて平等で安らかなことが等持となります。

●心を静めて一つの対象に集中し心を乱さない状態。

●何かに心を集中することによって心が安定した状態。

●その事だけになりきって余念のない状態。

●他のことに気が散らされない状態。

などを三昧といいます。

大乗仏教では色々な三昧経が作られました。
○○三昧経と題されたお経が30ほどあり、題名にある三昧について詳しく説かれています。
また般若経には100を超える色々な三昧が説かれています。

種々の三昧の中で、王たる三昧という意味で三昧王三昧さんまいおうざんまいという言葉があります。

禅の世界では坐禅のことを指します。
浄土門では念仏のことを指します。

天台には次のような四種三昧ししゅざんまいというものがあります。

1.常坐三昧=坐禅に没頭しひたすら座り続ける。

2.常行三昧=念仏を唱えながらひたすら歩く。

3.半行半坐三昧=歩いたり坐ったりしながら行をする。

4.非行非坐三昧=毎日の生活そのものが修行。

三昧を行うお堂を三昧堂といいます。
天台の寺に多く建てられ、後に高野山や奈良東大寺などでも建てられました。

法華三昧堂・・・法華三昧ほっけざんまいを行うお堂。

常行三昧堂・・・常行三昧じょうぎょうざんまいを行うお堂。

理趣三昧堂・・・理趣経を中心に構成した行を行うお堂。

法華三昧堂と常行三昧堂をペアにし、この二つのお堂を廊下でつないだものは担い堂にないどうと呼ばれます。
天秤で荷をかつぐ姿に似ているためです。

比叡山の担い堂には、弁慶が渡り廊下を天秤に見立ててお堂を担いだという伝説があります。

 

俗語としては、「 ともすればその傾向になる」「そのことに熱中する」「心のままにする。
したい放題、○○放題」という意味で使われています。
名詞につけて使うと濁るので「○○ざんまい」と読むことが多いですが、「さんまい」が正しい読み方で、語源はサンスクリット語「サマーディ」からきています。
この「サマーディ」、「三昧」は座禅とも深い縁があることば。
座禅で精神集中が深まりきった状態がすなわち「三昧」です。

「三昧」に達するための方法

座禅以外にも、阿字観、念仏、踊念仏、お題目を唱えるなど、それぞれが「三昧」の境地へのアプローチ法といえます。
禅宗では、あらゆる経論は座禅によって生み出されたとする考え方があり、座禅こそが最高の精神集中法、「三昧」の王としています。
それを表しているのが「三昧王三昧」ということばです。
ちなみに浄土門では念仏が最高の精神集中法であり念仏こそが「王三昧」としています。

『摩訶般若波羅蜜経』には、お釈迦様が「結跏趺坐をして三昧王三昧に入っていかれた」という記述があるそうです。
お釈迦様にとって、結跏趺坐での瞑想、後の座禅こそが「三昧」への究極のアプローチだったのでしょうか。
道元禅師は『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』において、結跏趺坐での座禅をもって最高の修行法、「三昧法三昧」とし、只管打座を説かれました。

仏教用語には「三昧」のつくことば

「三昧僧(さんまいそう)」……三昧堂・常行堂などに常住する僧のこと。
法華懺法(せんぼう)や不断念仏などの修行をします。

「三昧堂(さんまいどう)」……僧が中にこもって念仏三昧の修行をする堂(常行三昧堂)や、法華経についての長講を行う堂(法華三昧堂)のこと。
天台系統の大伽藍に置かれています。
最澄が比叡山に建立しようと発願して、円仁が建てたものが始まりです。

「三昧湯(さんまいとう)」……寺院などで、暑気払いのために沸かす薬湯。

「三昧場(さんまいば)」……死者の冥福を祈るため、墓の近くに設けて僧がこもる堂のこと。
転じて、墓所・葬場のこと。
奈良時代後半から平安時代まで、天皇の火葬を行う場所は「山作所」と呼ばれており、同じころ天皇家以外では火葬を行う場所を「三昧」(さんまい)または「三昧場」と呼ぶようになりました。

「三昧耶(さんまや)」……「三昧」がついていますが、「三昧耶」はサンスクリット語「サンマ」の音写で「サマーディ」との関係性はありません。
「1、時。
時間。
集会・平等・教理などを意味する語。
2、密教で平等・本誓(ほんぜい)・除障・驚覚の意。
仏と衆生(しゆじよう)が本来は等しく同一であることを根本とする。
3、三摩耶形(ぎよう)」の略