仏教のことば:「戒(かい)」

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戒(かい)

僧侶が守らなければならない規律、きまり。

すべての悪しきをなさず、善を行い、
自分の心を浄める。これが諸々の仏陀の教えである。

[意味]

用心する。緊張して備える。気を張って用心させる。あやまちをしないよう、今後に気をつけさせる。さとす。自分に対してすることを禁ずる。 いましめ。いつも、気をつけて避けるべき事がら。また、だれないようにする用心。 仏道にはいった者が、生活を引き締めるおきて。 境めのこと。

戒とは、「置く」や「保つ」を意味する、サンスクリットあるいはパーリ語のシールから派生したという、サンスクリット語のシーラあるいはパーリ語の漢訳語です。その意味は、原意の「場所」や「入れ物」から転じた、「習慣」あるいは「行い」を指します。漢訳仏典の中では、時としてこれをただ音写した、尸羅[しら]という言葉が用いられることがあります。

仏教では、戒とは「防非止悪[ぼうひしあく]」のものである、と言われます。

それは、日常の我々の行動を、非道や悪から遠ざけようとする、出家者である僧侶も在家信者も共に保つべき、日常での具体的ないわば「心がけ」です。そしてその心がけによる「行い」によって、原意通りに、やがて「習慣」とすべきものです。

戒は、まず自分や他者に苦しみをもたらす、なんらか悪しき行為を止めることによって、善なるあり方に近づく事を目的とします。

戒は、その人の立場に応じた何種類かが仏典に説かれています。戒とは、先に日常の心がけである、と述べましたが、それは日々につとめて守ってこそ初めて意味があるもので、基本的には一時期だけ、一日だけ守って意味があるものではありません。

戒は仏教徒の生活規範である。
仏教徒には捨家棄欲の生活をして仏道に専念する出家の行者と、家庭にあってそれぞれの職業に従事しながら仏陀のいましめを守り布施をする在家の信者とがいる。
双方に男女の別があり、出家者は比丘と比丘尼、在家者は優婆塞(うばそく)と優婆夷(うばい)に別れる。これを「仏の四衆」と呼ぶ。

出家・在家のいかんを問わず、仏道を行ずる教徒は、それにふさわしい生活をしなければならない。そうするには仏陀が時に応じ折りにふれて定められた戒を守らなければならない。
比丘には250戒、比丘尼には348戒、優婆塞・優婆夷には五戒(不殺生・不偸盗・不邪淫・不妄語・不飲酒)が規定されている。