一箇半箇(いっこはんこ)
ひとつと半分のことであるが、人間についていう場合、数のごく少ないことです。
人や半人という数の問題ではなく、極めて少数希少の人のことであり、得難い人物のことである。そのような人材を育てることを、一個半箇の接得という。
道元禅師は、日本における禅宗三派、曹洞宗・臨済宗・黄檗宗(おうばくしゅう)の三つの宗派の一つ、日本曹洞宗の宗祖として広く知られています。
入宋して大悟し、帰国後、永平寺を開いています。
寛元元年(1243)道元は10年以上住み慣れた京都・深草の地をあとにして北国に旅立つ。
道元、時に44歳であった。
道元の脳裡には、中国で聞いた正師・如浄の言葉が強く鳴り響いていたのである。
「城邑聚落に住することなかれ。」
「国王大臣に近づく事なかれ。」
「ただ深山幽谷に居りて一箇半箇を接得し、吾宗をして断絶さしむ事なかれ」
・・・・と言う言葉であったそうです。
この中に「一箇半箇を接得し」とあります。
それで、禅宗ではこの「一箇半箇を接得」という教えを、坐禅に身心一如にした、俗事世情一切を投げ捨て得る貴重な人材の育成を行うかを目指しているのです。
如何にして「一箇半箇を手にするか」が問題になるところですが。
凡人にはわかりませんが、その気持ちだけは持ちたいものです。