礼賛(らいさん)
仏や菩薩の功徳をたたえたり、お経を賛嘆することです。
1 すばらしいものとして、ほめたたえること。また、ありがたく思うこと。「先人の偉業を礼賛する」「健康を礼賛する」
2 仏語。仏・法・僧の三宝(さんぼう)を礼拝(らいはい)し、その功徳(くどく)をたたえること。また、その行事。出典 小学館
「礼賛(らいさん)」は、今では一般に「偉業や偉大さをほめたたえたり、ありがたく思ったりする」意味とされていますが、本来は仏教からきた語です。仏教用語としては「三宝(さんぼう)(仏・法・僧)を礼拝して(拝んで)、その功徳を賛嘆すること」を意味になります。
「礼拝」の「礼」の読みには、「呉音」の[ライ]と「漢音」の[レイ]があります。
このうち、「呉音」(中国・六朝時代の南方―呉の発音といわれる)は、「漢音」よりも先に日本に伝わったとされ、比較的古い時代のことばや仏教用語の読みに多く用いられています。「礼拝」の読みも、仏教では「呉音」の読みの[ライ]を用いて[ライハイ]と読みます。
キリスト教やイスラム教では同じ「礼拝」でも「漢音」の[レイ]を用いて[レイハイ]と読みます。
『舎利礼文』の内容を簡単に説明すれば、釈迦(ブッダ)の舎利(遺骨)を礼讃する言葉からはじまり、礼拝によって真理の智慧を開き、仏として生きることを説く経典であるといえます。
舎利を礼拝するという内容であることから、葬儀や枕経、焼香などの際に読まれることが多く、曹洞宗をはじめ、多くの宗派で読まれるお経ともなっています。
また舎利礼文には「舎利三遍」という言葉があり、一遍読んで終わるのではなく繰り返し三遍読む慣わしが昔からあります。
焼香の際などに何度も繰り返して読まれるのはそのため。
人が亡くなり、最後に残るものが舎利、つまりは遺骨であります。
舎利礼文はその遺骨を礼讃する経典。
ブッダの遺骨は8つに分けられ、8つの部族がそれぞれの地にストゥーパ(墓)を建立して安置をしたという記録が仏典に残っています。
そのストゥーパは形を変えつつ、現代では墓石という形で日本にも受け継がれており、納骨の習慣もまた脈々と受け継がれています。
善導大師(ぜんどうだいし)は『往生礼讃偈(おうじょうらいさんげ)』に
「如灯風中滅難期(にょとうふうちゅうめつなんご)」
とお示(しめ)しくださいました。その意味(いみ)は
「命(いのち)の灯(ともしび)は、風(かぜ)にさらされればいつ消(き)えてしまうかわからない」
という意味(いみ)です。