仏教のことば:「功徳(くどく)」

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功徳(くどく)

現在または未来に、よい果報をもたらすような善い行為。

善い行いをすることによって神仏からの恵みを受けることができるという仏教の教えのひとつです。
世界には様々な善悪概念がありますが、功徳は人類にとって普遍的な「善行」とされています。 善い行いをすることによって、その人に備わる徳を功徳と言います。

善い行いを仏教では善行ぜんぎょうといいます。お堂や塔、仏像などを造ったり、写経などが代表的な行いです。

仏教の教えのひとつに「功徳を施す」という言葉があります。
「功徳を積む」という表現でされることもありますが、これらの言葉の真意は「善い行いをすると当然、善い結果になる」「善いことをしても悪い結果になることはありえない」とされる善行を行うことにあります。

しかし、「悪は犯しやすく善はなしがたい」という言葉があるように、善い行いをするには常に悪に惹かれる心と競争しなくてはならないため、容易ではないとされています。

善行の結果の功徳を他に廻めぐらし向けるという意味で、廻向といいます。サンスクリット語の原語には、変化・変更・成熟・発展などの意味があります。

廻向は当初、布施をした功徳を家族に振り替えるだけでした。それが後の大乗仏教になると、対象が家族から家族以外にも拡大されます。むしろ、自己的なものより、他に振り向けることが、理想的な功徳になる、という考え方になります。

例えば、お念仏の功徳を、すべての人に振り向けて、共に極楽往生ごくらくおうじょうする、という考え方です。これから転じて、法事でお経を読み、故人の冥福を祈ることを、廻向と呼ぶようになりました。

回向文は、法要の終わりの部分で読み上げられる文章です。その法要の功徳が目的のところへ廻向されるように唱えます。よく使われる代表的なものが次の文です。

願以此功徳 普及於一切 我等與衆生 皆共成佛道。
がんにしくどく ふぎゅうおういっさい がとうよしゅじょう かいぐじょうぶつどう

この功徳をもって、あらゆる事に対し、私たちが仏様の教えを実践できますように願うわけですね。

観音様にまつわる縁日は多々ありますが、室町時代以降に「四万六千日(しまんろくせんにち」と呼ばれる縁日があります。

別名「千日詣」や「ほおずき市」と呼ばれる「四万六千日」は7月10日とされており、その功徳日には御利益が最も多く、一日で46000日分の御利益があるとされています。

10日に一番乗りで参拝するために前日の9日から参拝客が多く7月の9日・10日の両日が「四万六千日」と受け止められるようなりました。
46000日分のお参りに相当する御利益といえばおよそ126年分ですね。

「善い行いをすると当然、善い結果になる」「善いことをしても悪い結果になることはありえない」と信じることが大切だと思いますね。