仏教のことば:「魂魄(こんぱく)」

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魂魄(こんぱく)

心身の異名。
魂は、霊の働きがあって形がないもの、魄は形があって霊・心識のよりどころとなるもの。
肝を司るものを魂、肺を司るものを魄といいます。
自己存在の根源的生命

一般には人間の霊魂を意味します。
中国においては, 「魂」は、人の精神をつかさどる気
「魄」は、人の肉体をつかさどる気
魂は陽に属して天に帰し 魄は陰に属して地に帰す
人間が死ぬと,両者は分離して上下に飛散すると考えらました。
三魂七魄の数があるとされます。

人間の霊魂の活用には、魂(こん)と魄(はく)の二種類の区別があります。

魂魄(こんぱく)というのは漢字の音読みですが、これをやまとことばでは、魂を「みたま」あるいは「をだましひ」、魄を「みかげ」あるいは「めだましひ」と読みます。

『和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』(平安時代に編集された日本最古の漢和辞典)によれば、「霊」の字の左右に「みたま」、「みかげ」と訓をつけ、その註釈に「日本紀に云ふ、美太万(みたま)一に美加介(みかげ)、また魂魄の二字を用ふ」とありますが、これは「霊」という字は「みたま」、「みかげ」とも読むが、魂魄の二字を用いるときは「魂」を「みたま」と読み、「魄」を「みかげ」と読むという意味です。

また『類聚名義抄(るいじゅみょうぎしょう)』(平安時代末期に編集された漢和辞典)では、「魂」の字には「をだましひ」、「魄」の字には「めだましひ」と訓がつけられています。

しかし、魂と魄という二つの霊魂が、それぞれ別に存在するというわけではありません。

一つの霊魂ですが、その活用(はたらき)によって、「魂(みたま、おだましい)」といい、また「魄(みかげ、めだましい)」とういう区別ができるのです。

魂が魄を制する人は、純魂無魄の人となって人の心を暖め、世の中を明るく照らすことができますが、その反対に、魄が魂に勝つ人は、全魄無魂の人となってしまい、人に対して冷たく、世の中を暗くするようなことをしてしまいます。

人はその構造上の理由により、生まれながらにして善悪の両方の性質をそなえているといえます。