四苦八苦(しくはっく)
生・老・病・死の四つの苦しみと、愛別離苦・怨僧会苦・求不得苦・五陰盛苦の四つを加えて八苦といいます。
仏教では、人生の苦しみを、大きく4つに分けたものを「四苦(しく)」といいます。
1.「生苦(しょうく)」
2.「老苦(ろうく)」
3.「病苦(びょうく)」
4.「死苦(しく)」の4つです。
さらに4つ加えたものを「八苦(はっく)」といいます。
5.「愛別離苦(あいべつりく)」
6.「怨憎会苦(おんぞうえく)」
7.「求不得苦(ぐふとっく)」
8.「五陰盛苦(ごおんじょうく)」
の8つです。
このように「四苦八苦」といっても、12あるわけでなく、全部で8つです。
苦とはサンスクリット語のドウクハに由来し、「ドウクハ」の「ドウ」は「悪い」という意味で、「クハ」は「運命」「状態」を表します。
直訳すると苦とは、悪い運命、悪い状態となりますが、阿毘達磨(あびだるま)(紀元前2世紀頃の仏教文献)によると苦とは逼悩(ひつのう)と定義され、「圧迫して悩ます」という意味をもちます。
つまり苦とは、自分ではどうにもならないことをいうのです。
四苦とは「人間として逃れられない必然的な苦しみ」である生苦(しょうく)(生まれてくる苦しみ)、
老苦(ろうく)(老いていく苦しみ)、
病苦(びょうく)(病気になる苦しみ)、
死苦(しく)(死ぬ苦しみ)をいい、
さらに「人間として味わう精神的な苦しみ」である、怨憎会苦(おんぞうえく)(嫌いな人との出会いによる苦しみ)、
愛別離苦(あいべつりく)(愛する人との別れによる苦しみ)、
求不得苦(ぐふとっく)(求めても得られない事を求めてしまう欲から生じる苦しみ)、
五蘊盛苦(ごうんじょうく)(人の存在そのものからくる苦しみ)
以上四つの苦を加えて四苦八苦といいます。
以上のように本来は四苦と八苦で合計八種類の苦しみを表していましたが、やがて、一般的に人間のあらゆる苦しみを指す言葉として用いられるようになりました。
約2600年前、お釈迦様が35歳で仏のさとりを開かれた第一声は「人生は苦なり」でした。
人生の苦しみを四つに大別したものを「四苦」、それに四つ加えて「四苦八苦」と教えられています。
いずれの世、いずこの里でも受けねばならぬ人間の苦しみを、八つにまとめられたもので、お釈迦様自身も、王様の子として生を受け、文武の才能に恵まれながら、それでも無くならぬ苦に驚かれたのでした。
仏教では、苦しみ悩みの波が、次々と襲ってきて、人生を「難度海(なんどかい)」と海に例えられています。
私たちは、苦しむために生まれてきたのではなく、みんな幸せになるために生きているのではないでしょうか。
四苦八苦の波に揉まれ溺れ苦しんでいる私たちが、心から安心満足できる道が、どこにあるのでしょうか。
仏教を説かれたお釈迦様は、多くの人の苦しみに耳を傾け、その苦しみの原因を明らかにされ、幸せへと導いていかれました。
お釈迦様が仏教を説かれた目的は「抜苦与楽(ばっくよらく)」です。
抜苦与楽とは、苦しみを抜いて、楽しみ、幸せを与えるということです。
お釈迦様は、多くの人の苦しみを抜いて、幸せを与えていかれた方です。
お釈迦様の教えの根底にあるのが「因果の道理」という教えです。