仏教のことば:「居士(こじ)」

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居士(こじ)

在家で仏道を修め、学修する男性。

仕官せず野にある男子の読書人(士)。漢籍で用いられる語。 出家をせずに家庭において修行を行う仏教の信者。またそこから転じて戒名の末尾につける敬称・尊称ともなった。

居士の語源は「(家に)居(を)る士」であり、仕官をしない読書人の意(Wikipediaより引用)

普通の信者と異なる点は、仏教学の知識・実践において僧侶に準ずる、或いは匹敵する程の力量を持っている事である。

居士の存在は、唐代中期に科挙の普及によって士大夫階級が成立し、白居易や蘇軾などそれら士大夫が仏教に興味を持ち始めてから現れるようになった。

唐代後期には前出の?居士の語録が編集され、宋代には『嘉泰普燈録』に僧侶の伝記と共に張商英など著名な居士の行状が収録されるようになった。

明代になると、居士の行状のみを集めた『居士分燈録』が編集され、清代に至ると、衰退した出家教団に変わって仏教復興運動を展開するなど、仏教発展の一角を担うようになった。

日本の居士

日本における著名な居士は、戦国時代の茶人 千利休である。

利休は当初、千宗易と名乗っていたが、織田信長の茶頭となり、次いで関白豊臣秀吉に仕えて、秀吉の宮中献茶に奉仕し、その際、正親町天皇より利休居士の号を与えられた。

後代になると、江戸時代の剣豪・山岡鉄舟や仏教学者の鈴木大拙、西田幾多郎、久松真一、大内青巒などが居士号を以て称されるようになり、現在も居士号を取る程の修行を積んだ人物の中には、剣道や弓道の達人が多い。

日常では「○○居士」とか戒名で見かけることが多いですね。

戒名は仏の弟子になった事をあらわす名前です。
本来の戒名はどんな身分の人でも二文字で、仏の世界では平等であることが表現されています。
仏教は本来、平等を説く教えですから、戒名にランク付けがあってはなりませんが、実際には戒名のランク付けがあり、御布施の金額も異なります。
ランク付けは院号・院殿号や信士(信女)・居士(大姉)・大居士(清大姉)などの位号によって定められています。

現在のような戒名が発達しはじめたのは江戸時代からで、大名であれば院殿号、居士や大姉は下層階級には用いない、そんな戒名による身分差別がありました。

こうした名残が今の時代にも引き継がれて、信士→居士→大居士、信女→大姉→清大姉というランクの差、院号・院殿号がつけばさらにランクが上がるというランク付けとなったのです。

戒名のランクは本来、日頃の寺院に対する金銭的なものを含めた功績によって決まるものです。
最近は、葬儀の戒名を授けてもらうときの金銭にばかり注目が集まりますが、これはお寺との普段の関係が希薄になってきたこともひとつの原因ではないでしょうか。

戒名とは

そもそも戒名の「戒」という文字には戒め(いましめ)という意味があります。

仏戒といって、仏教において守らなければならない戒律のことで、「戒」はさとりを目指して個人がそれぞれがんばらなくてはならない決まり。

「律」は集団で生活する僧侶の生活上の規則を守る上での規則であり、これを破ると罰則があります。よって戒律は、仏教信徒が守るべき行動規範であり、在家や出家の違い、男女の性別によっても変わります。

浄土真宗では戒律がないため、戒名という言葉は使わず、法名といいます。また日蓮宗など法号という宗派もありますが、いずれも仏弟子となることを表した名前です。

さらに、戒名を授かる儀式を「授戒(じゅかい)」といい、浄土真宗では「帰敬式(ききょうしき)」または「おかみそり」といいます。

今では多くは、戒名を亡くなった後に授与されますが、本来は生きている間に仏弟子となるべく授かる名前が戒名でした。

生前に授かる戒名を「生前戒名」といい、縁起が良いとされたり、また、終活として死後に家族に負担をかけないために準備される場合もあります。

日ごろ用いている生前の名前は「俗名」といい、俗世界と縁を切る意味で戒名を授けられます。