仏教のことば:「葷酒(くんしゅ)」

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葷酒(くんしゅ)

葷とは臭気のある野菜で、葱、韮、らっきょう、にんにく、はじかみなど。
鳥獣魚肉の意とも。
酒を飲むことはもちろん、葷を食することは臭気の不浄さと精力つくため禁じられた。

禅寺の山門の前には【不許葷酒入山門】という文字が掲げられています。葷酒(くんしゅ)、山門に入ることを許さず。

くさいにおいのする野菜と、酒は、修行の妨げになるので、寺の中に持ち込んではならない、ということ。

修行中の禅僧に、酒・肉・香辛料はご法度で、代わりに生み出されたのが精進料理というわけです。

葷=「くん」と読み、
①くさみのある野菜、にんにく、にら。
②生臭い肉と魚。 酒=アルコールを含む飲み物で、アルコールによって人の脳をまひさせるもの。 日本酒、焼酎(しょうちゅう)、紹興酒(しょうこうしゅ)など。

山門=「さんもん」と読み、
①寺の正面の門。②お寺。禅寺。(お寺は本来、人里離れた山にあるべきなのでこのように言う)。

入る=「いる」と読み、はいるの古い言い方。

許さず=「ゆるさず」と読み、許さない。そのようにさせない。

修行=「しゅぎょう」と読み、仏教を学びその真理にもとづく悟りを得るために努力すること。 妨げ=「さまたげ」と読み、物事が進むのにじゃまになる。

寺=「てら」と読み、仏像を置いて僧侶が住み仏教の修行をするための建物。

戒律=「かいりつ」と読み、寺の僧侶が守るべき日常のきまりごと。
不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不飲酒など。 戒壇石=「かいだんせき」と読み、戒律を守る目的で設けられた小さな結界を示す目じるしの石。結界石。

出家=「しゅっけ」と読み、一般の人が住んでいるこの世間を捨て仏門にはいること。
結界=「けっかい」と読み、寺の秩序を守るために決める一定の限られた場所。修行の妨げとなるものが入ることを許さない場所。

仏教で、酒のことを俗に【般若湯】と言いますね。
般若とは、単なる知識を超えた深い悟りを意味する“智慧”のこと。
仏教徒が守るべき5つの戒律―『不殺生戒(殺さず)』『不偸盗戒(盗まず)』『不邪淫戒(淫らな行為をせず)』『不妄語戒(嘘をつかず)』『不飲酒戒(酒を飲まず)』で、 不飲酒戒が5番目に来るのは、酒を飲んだら前の4戒を犯しやすくなるという理由。
日本の寺院では「五戒は飲酒そのものを厳禁しているわけではなく、他に悪いことをしなければ飲んでも差し支えない」「酔うために飲むのではない、修行に役立つ智慧を生む【般若湯】として飲む」と緩~く解釈したようです。
厳しい刑罰を科したモーゼの十戒やイスラム教の戒律とは違って、人間の自主性に委ねたんですね。

なんとも都合の良い解釈に思えますが、よくよく考えれば、酒を飲んで前後不覚になるまで酔うというのは、犯罪を招く恐ろしい戒律違反行為であり、飲むんだったら適正な飲み方を自己責任でせよと言っています。

適正な飲み方を極めるのも、修行といえば修行なのかもしれませんね。