仏教のことば:「有頂天(うちょうてん)」

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有頂天(うちょうてん)

天上界の九つの天のうち、最も高い天の名。
得意の絶頂にあることをもいいます。

有頂天(うちょうてん)」というと、喜びの絶頂や、エクスタシー、
喜びのあまり舞い上がったり、上の空になっていることをいわれます。

もともと仏教で、私たちが生まれ変わり死に変わりする6つの世界でも、
最も楽しみの多い、「天上界(てんじょうかい)」の一つです。

仏教では、私たちは果てしない遠い過去から、「六道(ろくどう)」といわれる苦しみ迷いの6つの世界を生まれ変わり死に変わり、生死を繰り返していると教えられています。

その6つの迷いの世界の中でも最高の世界が天上界です。
天上界に住んでいるのは、他の宗教でいわれる神ですので、神の国であり、天国が、天上界です。

天上界には28種類あります。

中でも、天上界の28種類で、最高の世界が「有頂天」です。

ここに行くには、想像を絶する努力が必要だとされています。

ところが、「有頂天から始まる地獄」という言葉があるように、有頂天から無間地獄に堕ちることがあります。

六道輪廻の中で、天上界でも最高の有頂天に生まれても、次に地獄のどん底の無間地獄に生まれることがありますから、苦しみ悩みはなくなりません。

これを『法華経』には「三界は安きことなし、なお火宅のごとし」
と説かれています。
「火宅」とは、火のついた家のことで、隣の家が火事で、自分の家のひさしに燃え移ったときのような、不安で仕方がない状態ということです。

このように仏教では、神もまた六道輪廻の迷いの衆生であり、神の世界である天国も、安らかな世界でもなければ、目指すべき目的地でもないのです。

仏教では、この果てしない苦しみ迷いを離れて、未来永遠変わらない幸せになる道が教えられています。

六道を現世に置き換えると、天上界は喜びの瞬間、人間界は平常の様子、修羅界は怒りの瞬間、畜生界は衝動的な様子、餓鬼界は欲望が出る瞬間、地獄は哀しみを含むどん底を味わう瞬間と捉えます。

人は、この六道を常に上下しながら生活しています。

常に喜んでいる人も居ませんし、常にどん底の人も居ません。ですから、なるべく三悪道(地獄、餓鬼、畜生)に堕ちないように心を平静に保つことこそが、天上より上の十界を目指す近道になる。

というのが、現代仏教の基本理念ですが、宗派や派閥により、六道に関する認識は様々です。