仏教のことば:「受戒(じゅかい)」

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受戒(じゅかい)

仏門に入る者が、定められた戒律(五戒、十戒、具足戒)を受けることです。

戒めを授けるという仏教用語で仏門に入った信徒に護るように指示すること、仏弟になるための儀式で、戒を与えられたものではなく、与えるものが使用する言葉。

戒は「殺さない」「盗まない」「怒らない」「酒におぼれない」などの、生活をしていく上で正しく生きていくための基本原則的なものなどから構成される(宗旨宗派によって内容が異なる場合がある)。

戒法を授けることを授戒、逆に戒を受けるのを受戒という。
仏教教団では在家の五戒、出家の十戒・具足戒および大乗戒を受けるが、授戒の仕方については、具足戒と大乗戒とではその方法が異なる。
具足戒は師などの他の人によって授けられる従他受法の形式、大乗戒は師などによらずただ自誓するだけの自誓受法の形式によって受戒するのが普通である。

授戒会とは、仏の弟子になって、戒という約束事を守ることを誓う儀式です。授戒を受けると戒名がつき、徳を積むことができるといいます。

生前に授戒会に出席して戒名を受けることもできますが、戒名の準備がないまま亡くなった場合、葬儀の際に授戒を受けることになります

本来なら250以上もある戒を、出家する人は持つとされていますが、一般の信徒が守らないといけないのは五戒などの限られたものです。

また戒名、法名は、仏の弟子としての名前という意味で、亡くなってからいただくものという意味ではありません。

亡くなってからあわてて遺族が菩提寺へお願いするよりも、生前から仏教への信仰が厚く、菩提寺との関係がしっかりとあれば、自ら授戒会へ出向き、自分で戒名をいただいておくようにする人も多いものです。

戒名は本来は、葬儀の際に使うためにつけてもらうものではなく、自分が信じて帰依している寺院、宗派の仏弟子となったという意味を持つものです。

信仰している宗派やお付き合いのある寺院がある場合は、生前に戒名をいただくという方法を考えることで、戒名やお寺との関係を改めて考え直す機会になるかもしれません。

戒名の第一号

754年、東大寺に鑑真和尚を招いて授戒が行われて本格的となりました。
このとき日本での授戒第一号が聖武天皇です。
戒名は「勝満」と授けられました。

お茶やお華で、ある程度できるようになると、家元からその道での「名前」をもらいます。
これと同じように、お釈迦さまの教えを守って生活をします、と約束したときに授けてもらう名前が戒名です。
仏弟子になったことを表す名前です。

戒名は生前中受けるのが本来のすがたです。
鎌倉時代の武将、上杉謙信や武田信玄の名も戒名で、謙信の俗名は輝虎、信玄は晴信です。
室町時代あたりから、葬儀のときに仏弟子となった意味で戒名を贈るようになりました。

院号の第一号

院号の第一号は嵯峨天皇の「嵯峨院」です。
はじめ皇室に使われていた院号は、しだいに貴族や武士へと広がりました。

長い戒名で有名なのは徳川家康の「東照大権現安国院殿徳蓮社崇誉道和大居士」。
二文字だった戒名が時代とともに長く荘厳になりました。

院号は寺を一ケ寺建てる程の功績があったことを表し、居士は出家しない熱心な仏教信者を表し、大姉は尼僧を指す名称が後に女性の尊称として居士と同列に使われるようになりました。

いずれも生前中の寺や社会への貢献度・信仰心などを表現する文字として戒名に付加されたものです。