仏教のことば:「醍醐味(だいごみ)」

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醍醐味(だいごみ)

仏陀の、最上で真実の教え。
牛乳には、乳・酪・生酥(しょうそ)・熟酥・醍醐の五味があると言われます。
その一つの味で、食物の最上の味。
物事の本当のおもしろさ。深い味わい。

「最高の美味」を意味する仏教用語。牛乳製品を発酵の段階にしたがって五つ(乳(にゅう)、酪(らく)、生酥(しょうそ)、熟酥(じゅくそ)、醍醐)に分け、それら五つの味を五味(ごみ)といい、あとのものほど美味であるとする。五味は教義や経典の深浅の説明に用いられ、最高のもの(たとえば『涅槃経(ねはんぎょう)』)が醍醐味に例えられる。サンスクリット語でサルピル・マンダsarpir maaというが、乳酸飲料「カルピス」はこのsarpir(サルピスsarpis)をもじった商標である。すばらしい体験をすることを「醍醐味を味わう」という。
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

醍醐とは、平安時代に皇族や貴族に食されていた超高級な乳製品と言われています。酪農文化は飛鳥時代より始まり、肉食が禁じられた後は人々の貴重な動物性タンパクの摂取源となっていました。

実は醍醐はバターとヨーグルトの中間のようなものと言われていますが、製法を失ってしまっており’幻の食品と’なってしまっています。

しかし、「蘇」という醍醐の1つ手前の乳製品は製法も現存し、食べることもできます。濃厚な味わいでワインともよく合うと言われています。

「大般涅槃経」の一節である「五味相生の譬」の一節

牛より乳を出し、乳より酪(らく)を出し、酪より生蘇(しょうそ)を出し、生蘇より熟酥(じゅくそ)を出し、熟酥より醍醐を出す、醍醐は最上なり。

もし服する者あらば、衆病皆除く……仏もまたかくの如く、仏より十二部経を出し、十二部経より修多羅(しゅたら)を出し、修多羅より方等経を出し、方等経より般若波羅密を出し、般若波羅密より大涅槃経を出す……

数々の経典を経た最終形態が大涅槃経という内容の例えとして、乳製品の最上級品である醍醐が使われています。

そこから仏教用語としても醍醐という言葉が使われるようになり、現在も醍醐味という言葉として残っています。

「醍醐味」という言葉は日常会話でもよく使います。前向きで何か気持ちの高揚感がありますね。

「醍」は音読みで「だい・たい・てい」と読み、訓読みはありません。「醐」も音読みは「こ・ご」ですが訓読みはありません。「味」は一般的な漢字です。音読みは「み・び」で、訓読みは「あじ・あじわう」です。

したがって「醍醐味」は三つの漢字全てを音読みしていることになります。

乳製品としての最高峰の味としての「醍醐味」が「仏教における悟りの真髄」を意味するようになり、それがやがて「最高のもの」、「物事の深い面白さ」を表す言葉として使われるようになりました。

言葉の由来より「醍醐味」には「最高の食べ物」「仏教における悟りの真髄」「本当の面白さ」という三つの意味がありますが、現代において一般に使われているのは最後の「本当の面白さ」すなわち「物事の深い面白さ」がよく使用されています。

醍醐天皇・後醍醐天皇と、乳製品である醍醐に関係は無いそうで、醍醐天皇の陵が醍醐という地区だからという説が有力みたいですね。