仏教のことば:「迦陵頻伽(かりょうびんが)」

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迦陵頻伽(かりょうびんが)

梵語カラビンカの音写。
好声・妙声・美音・美音信・好音鳥と訳す。
ヒマラヤ山中にいる美声の鳥。
極楽浄土に住む鳥、浄土曼荼羅には人頭鳥身にえがかれています。

仏教で説かれる想像上の鳥で極楽浄土にすみ,妙声をもって法を説くといわれ,人頭鳥身の姿に表わされる。古く中国で図様化され,浄土変相図や天井画などの建築装飾,華鬘 (けまん) などの工芸文様中にその美しい姿がみられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

その声ざまの美しさは、極楽に棲むとやら承った伽陵頻伽にも劣るまじい。<芥川竜之介・きりしとほろ上人伝>

美しい声のたとえ。また、声の非常に美しいもののたとえ。

あるいはヒマラヤ山中にいる想像上の鳥の名で、まだ殻にあるときに美しい声で鳴くともいい、極楽浄土にすみ、比類なき美声で鳴く想像上の鳥ともいう。

浄土曼陀羅じょうどまんだらの絵などでは上半身は美女、下半身は鳥の姿で描かれています。

梵語ぼんごKalavinkaの音写で、仏典では「好声鳥」「逸音鳥」「妙声鳥」などと訳されており、この鳥の比類のない美声を仏の声にたとえています。

日本では美しい芸者や花魁(おいらん)、美声の芸妓を指してこの名で呼ぶこともあったそうです。

宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱(京都国立博物館HPより引用)

京都国立博物館 「〒605-0931京都市東山区茶屋町527」の宝物に

「宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱(ほうそうげかりょうびんがまきえさっしはこ)」がありこの中に 迦陵頻伽(極楽に住むという想像上の鳥)を左右相称に金・銀の研出蒔絵がほどここされています。

https://www.kyohaku.go.jp/jp/syuzou/meihin/urusi/item05.html

蓋中央の2行の銘文「納真言根本阿闍梨空海 入唐求得法文冊子之筥」により、弘法大師空海が、唐で書き留め持ち帰った『三十帖冊子』を納めるために製作された箱であることがわかる。
長方形の深い被せ蓋造りの箱で、胎はさい製(布を型にあて、漆で塗り重ねて成形したもの)であるとされる。総体に黒漆塗。金銀粉を淡く蒔いた地に宝相華、瑞雲、鳥、蝶に迦陵頻伽(極楽に住むという想像上の鳥)を左右相称に金・銀の研出蒔絵で配す。迦陵頻伽はそれぞれに笛や太鼓などの楽器を奏でており、その動感にはみるものがある。
延喜19年(919)『三十帖冊子』が叡覧に供された際、この箱が下賜されたと寺伝にはいう。