仏教のことば:「納経(のうきょう)」

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納経(のうきょう)

供養のために、経を寺社に奉納することです。

書写した経巻を寺社に奉納して信仰の深さをしめし,神仏の加護や故人の冥福を祈ること。
巡礼者がおこなう場合は,たとえば日本回国六十六部聖(ひじり)ならば,《法華経》六十六部(1部は8巻)を写経し,これを諸国一宮(いちのみや)に奉納して歩く。
したがってこれを経聖(きようひじり)という。
しかしのちにはこれを忘れて,西国三十三所観音霊場巡礼や四国八十八ヵ所観音霊場遍路のように,仏前で経巻を読誦することを納経というようになった。
出典 株式会社平凡社

お寺では、本堂と大師堂にお参りしたあと、納経所に立ち寄って「納経」するのが普通です。
本来「納経」とは、文字通り「経」を「納める」ということで、お参りしたときに写経を納めて、その「受け取り証」として納経帳や持参の白衣、掛け軸などにに朱印を頂くことをいうわけですが、現在では、写経を納める代わりに納札を納める方が多いようです。
お堂の前には、「写経入れ」と「納札入れ」が別々に置いてあるのが普通です。

納経帳には、「奉納」の文字に加えて、本尊を表す梵字と本尊の名前、そして寺院の名前を墨書してくれます。
さらに札所の番号などの朱印を押してくれます。
四国霊場では日付は入れません。
ご住職など正式のお坊さんがして下さることもありますが、いわゆる「納経書き」として雇われている人のこともあり、その対応も様々です。
次々に訪れる参拝客に対して、さらさらと慣れた手つきで書いてくれます。
お守りを買ったりするのと違ってハンドメイドなので、僧籍の方に書いていただいたものではなくても、ありがたみが感じられます。

納経には料金がかかります。
お布施のように「お志しで」というわけではなく、四国八十八カ所霊場会が定めた協定料金です。
納経帳だけでなく、白衣の背中や専用の掛け軸に書いてもらうこともできます。

印影が朱色と言うことから御朱印帳(ごしゅいんちょう)とも呼ばれることもあるようです。

お遍路巡りでよく使われ、札所でご縁を結んだ印となっています。

納経帳に押してもらうのは参拝後

各札所に納経を押してもらう授与所が用意されていますが、そもそも、写経して寺社に納めた証を朱印として貰っていたという歴史があります。

今は写経をする必要はありませんが参拝の証であることは変わりませんので札所に着いて授与所にすぐに行くのは止めましょう。

朱印は手書きである

納経帳にもらう朱印は、住職が手書きで書かれることがほとんどです。

そのため、多少の時間がかかるため休日になると列を作ることも多いです。

せっかく心をこめて書いていただいているのでその間に飲食をしたり、スマホをいじったりすることは止めましょう。

また、手書きのためまったく同じものは存在しません。

手書きの味を楽しむようにしましょう。

納経料のため、小銭を用意しよう

納経帳に朱印をもらう際は、納経料として300円かかります。

(四国八十八カ所霊場会が定めた料金です)この支払いの際、1万円札などの高額なお札を出すのは札所に大きな負担がかかるので止めましょう。

遍路は、本堂と大師堂の前で灯明・線香をあげ、読経しますが、御本尊は本堂の奥深くに納められ、また大師像もしかとは拝見できないことも多いです。
住職などと言葉をかわす機会もそうはありません。
したがって、納経所は遍路とお寺の人との貴重な接点です。

特に歩き遍路にとって、納経時間が朝の7時から夕方5時に限られているということは行程上かなりの制約になってしまいます。
しかし札所を「点」、道を「線」とすると、どうしても「点」より「線」の重みが大きくなりがちです。
せめて「点」での人間関係である納経所でのひとときを大切にしたいものだと思います。

御朱印

神社参拝した証として戴く「御朱印」。

その起源は、奈良・平安の昔。
神社仏閣に書写した経典を奉納した際に戴いた「納経受取の書付」ではないかといわれています。

「神社へ経典を奉納したの?」
と思われる方もあるかも知れませんが、こうした例の代表に「平家納経」があります。
これは時の天下人・平清盛が神仏習合思想の影響をうけ、「厳島神社の御祭神は、十一面観音がお姿をお変えになったもの」と解釈して奉納したものといわれています。

こうした納経は徐々に一般にも広がり、社寺から「納経受取の書付」を戴いていたことが、やがて納経をせず参拝のみをした場合にも証明を書いてもらうというように変化していったものと考えられています。

鉄道網が整備された明治以降には、巡拝旅行と集印が盛んに行われるようになりました。
それに伴って、案内本や旅行記といった書物も出版されるようになり、昭和10年頃から「御朱印」という呼称が見られるようになります。

遠路をこえて叶った神社参拝。

敬神の思いの結晶ともいえる御朱印帳は、昔も今も、まるで参拝した時の感動を永久保存してくれるかのような掛替えのない存在といえましょう。

納経帳と朱印帳の違いは?
名前が違うだけで同じものです。
御朱印というのは、もともとはお寺に写経を納めた時の受付印だったものが、巡礼の時に参拝記念(?)的に押してもらうようになったという説があって、その名残で「納経帳」という名称があるのです。

こんなことを言う人もおられます。

朱印帳は基本的に神社の御朱印を押して戴く物です。

また、納経帳は読んで字の如く、お寺で経を納めた(読経、写経の奉納)証として、朱印を戴く物です。

1冊にお寺と神社をまとめてもいいのでしょうか?

特に「四国八十八カ所霊場」用とか「西国三十三所霊場」用のものでなければ(お寺の名称などがない真っ白なものであれば)、神社寺院取り混ぜて押してもらっても別に構いません。

その昔は、お寺の中に神社があったり、神社の中にお寺があったりしたものです(神宮寺といいます)。
厳密に寺院と神社を分けたのは明治時代の政策によるものですから、あまり気にしなくてもいいのです。
また仏教を学んだ人でも、一つの御朱印帳に寺院でも神社でも御朱印を貰っています。

ただ、世の中には、小難しい人もおられますので、「仏教は仏教だ!」「○○宗は○○宗だ!」「神社は神社だ!」という人もいらっしゃいますから、そういうこだわりがないのであれば、取り混ぜても不都合はないのです。