仏教のことば:「点心(てんじん)」

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点心(てんじん)

禅宗で、定時の食事の間に少量の間食を摂ることです。

簡単な食事、またはその食物のこと。
食事を心胸(腹)に点ずるの意。

〈てんしん〉とも。
間食や軽食をさす。
空心(空腹)に点ずるの意で,もと禅家で休息を兼ねてとった軽食のこと。
茶の湯の料理である懐石も,本来は同義。
中国料理では,ツァイ(菜,料理の意)に対するもので,麺(めん)類,シューマイ,ギョーザなどの軽食や菓子をいう。出典株式会社平凡社

点心

点心(仏教では、「てんじん」と読みます)というと、中華料理を思い出しませんか?軽い食べ物やお菓子のことですが、これも仏教の影響を受けていたのです。

食事の前や合間に軽く食べることあるいはその食べ物を、空腹をちょっと満たす、腹にちょっと入れておく(点ずる)、というような意味から「点心」というようになったのだそうです。

精進料理

肉や魚(動物性タンパク質)を使わない料理のこと。

このままだと精進=「野菜」だと思われてしまいますが、もともとは「男らしさ、勇気、力」などを意味した言葉でした。
それが、仏教では一生懸命に修行することという意味で使われたのです。
ここから、今普通に使われている「努力すること」を意味するようになりました。

仏教の修行として重要なことの一つに、戒律を守ることがあります。
戒律には不殺生戒(ふせっしょうかい、生き物を殺さないこと)など厳しい決まりがあって、ふしだらな生活をせず、日常を律しなければなりません。
そのため精進という言葉は「肉食をしないこと」や「心身を浄めること」などの意味へと発展していったのです。
こうして精進料理が考え出されていきました。

精進料理の反意語は生臭料理(なまぐさりょうり)で、肉や魚(生臭物)を使った料理のことです。

懐石料理

文字通り、「懐(ふところ)に石を抱く」というのが懐石料理の起源です。
なぜ石を抱かなければいけないのでしょうか?
もともとお坊さんの食事は、午前中に一回のみと決められていました。
当然夜になるとお腹が空いたり、寒くなったりします。
そこで温めた石(温石「おんじゃく」)を懐に抱いて飢えや寒さをしのいでいたのです。
ここから、わずかながら空腹を満たし、身体を温める質素な、あるいは少量の食べ物を意味するようになったのです。

これは禅宗から出てきた考え方のようで、禅宗と深く関係している茶の湯(ちゃのゆ、茶会席)で、お茶を飲む前に出る簡単な食事のことを、懐石といいます。

こうしてみると普段使っている言葉もかなり仏教に由来する言葉が沢山ありますね。