安心(あんじん)
仏の教えにより、心の平安を得て物事に動じない心境のことです。
「安心立命(あんじんりゅうめい)」とは天命にまかせて死に際しても動揺しないことをいいます。
阿弥陀仏の救済を説く浄土門では,阿弥陀仏の救済を信じ極楽往生を絶えず求める心をいう。これを分類して至誠 (しじょう) 心,深 (じん) 心,回向発願 (えこうほつがん) 心の3種であるという。浄土門以外の,自身の力に依存して悟りを得るとする聖道門 (しょうどうもん) では,自身の心を落ち着かせ,安定することをいう。
安心(読み)あんじん
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典より引用
仏法によって心の安定を得ること。儒教の〈安心立命〉より出た語。各宗派の定める教義や実践法によって信仰を確立すること,あるいはその方途をいう。したがって諸宗によって意味内容を異にする。最も早く安心の語を用いたのは禅宗で,《続高僧伝》巻十六の菩提達磨の伝に,彼が壁観によって仏道と冥合したことに用いた。天台宗では,智顗(ちぎ)が止観を達成して法性(ほつしよう)の理に安住することを表した。善導以後,浄土系諸宗では広くこの語を用い,阿弥陀仏の救いを信じて往生を願う心を表現した。
株式会社平凡社世界大百科事典 より引用
一般的には、「あんしん」ですが、元々は「あんじん」だったみたいですが、特別な仏教用語だから「あんじん」というわけではないようです。
ただ、現在では仏教用語となっており、普通に使われている安心という言葉を、「あんじん」と読む場合、少々意味合いが違ってきます。
仏教では「私たちの役目は、世の人々に『あんじん』を与えることなんです」といわれています。
浄土思想の安心から定着した言葉ですが、『正しく教え導き、信心による安心を与える』というようなこともいわれています。
安心を「あんじん」と読む場合、深みというか重みが感じられます
密教では、即身成仏、まさに仏様と一体となり、自分自身が如来となって、悟りの境地に達した時が、真の「あんじん」のようです
そして、お大師様信仰の、「同行二人信仰」があります
「どんなにつらい時でも、いつでもお大師様が一緒についていてくださっている」
それによって、「あんしん」を得て、さらに自分自身が仏様の教えを信仰している「信心」、教えを学んで仏様に近づけるよう頑張る「菩提心」を心の支えとして、まさに「あんじん」を得るということになるのではないでしょうか。