仏教のことば:「冥土(めいど)」

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冥土(めいど)

冥途とも書く。
死後に行く世界。

冥途(めいど)とも書き、冥界(めいかい)、黄泉(よみ)などともいう。死後、死者の霊魂がたどって行く道。亡者のさまよい行く世界。主として地獄(じごく)、餓鬼(がき)、畜生(ちくしょう)の三悪道などをさす。中国ではこの冥土には閻魔(えんま)などの十王や、多くの冥官や冥吏などがいて、生前の罪過を罰するものと信じられた。日本では地蔵(じぞう)信仰と関連して、三途(さんず)の川、賽(さい)の河原などがあると考えられた。
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

死者の霊魂の行く世界のことです。
あの世とも言います。
地獄・餓鬼・畜生の三悪道のことを指します。
古来、中国で用いられ、日本神話や神道においては、黄泉(よみ)や常世、幽世、根の国とも呼ばれます。

冥土と冥途は、字は違いますが同じ意味であると捉えられています。
ただ、「途」という字は「通り道」を指し、「土」とは根ざした物や場所という意味合いから考えて、
・冥土:死後の世界そのもの。
・冥途:死後の世界へ続く道。
という違いがあるとも言えます。

冥土の中でも特に悪い霊魂が行き着く場所として、3つの種類があります

1つめは「地獄」です。
生きている内に悪行を為した者の霊魂が、死後に送られ罰を受けるとされる世界です。
例えば仏教では、閻魔の審判を受け、それに基づき厳しい責め苦を受けるとされています。

2つめは「餓鬼」です。
こちらは、生きている時に贅沢をした者が餓鬼道に落ちるとされています。
又仏教の世界では、生前において強欲で嫉妬深く、物惜しく、常に貪りの心や行為をした人が死んで生まれ変わる世界だといわれています。
餓鬼は常に飢えと乾きに苦しみ、食物、また飲物でさえも手に取ると火に変わってしまうので、決して満たされることがないとされています。

3つめは「畜生」です。
大きく言うと、神や人間以外に生まれた生物のことをいいますが、冥土の中においての畜生は、苦しみは多いが楽しい事は少なく、性質無智で、ただ食・淫・眠の感情のみが強情で、父母兄弟の区別もなく互いに残害する人間以外の禽獣虫魚などの生類のことを指します。

冥土には「冥途 冥界 冥府 あの世」などの類語があります。
いずれにおいても、「この世で悪行を働いた者が罪や罰を背負って行く場所」という意味や解釈が多いですね。

冥土の土産の意味

「冥土の土産」の意味は以下の通りとなります。
(1)あの世や地獄を意味する”冥土”に行く人物が持っていく土産。
(2)安心して死ねる喜ばしい事柄。
(3)間もなく死んでしまう人に対し、最後の望みを叶える行為。あの世で土産話になるように真実や事実、知りたかった事を教えたり、ご馳走を振る舞ったり好きな場所に連れて行くなどを総じて人生最後の謳歌、希望通りに応えるのが「冥土の土産」とする。
(4)冥土の別表記は「冥途」、しかし「冥土の土産」の際には「冥土」が使われる。
「冥土の土産」はそれこそ、殺人事件や格闘物などを扱う作品では犯人や悪役がこぞって、最後に「冥土の土産に教えてやる」というセリフを吐くものです。そこには、どうせ死んでしまう、終わってしまうから、最後に望みを叶えてあげる的な意味合いで使われます。

「冥土の土産」の由来は諸説ありますが、一説によると中国の仏教徒が信者から「あの世の世界」を何度も問われ、そこで苦し紛れに出したのが”冥土”という架空の世界だと言われています