如来(にょらい)
仏の尊称。
元来の意味は「そのように来た人」のことです。
梵語タターガタの訳。
真如から来現したもの。
応供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏、世尊を如来の十号といいます。
如来とは悟りを開いた人のことをさした言葉です。
人間も悟りを開けば如来になれると信じられているのです。
現在で、如来といえばまず「釈迦如来」を思い浮かべる方も多いと思います。
悟りを開く直前の修行中の人を「菩薩」と呼び、悟りを完全に開いた人を「如来」と呼びます。
如来はそれぞれ、お釈迦さまの教えをわかりやすく説くために現れた如来。お釈迦さま以前から存在する真理そのものの如来(過去七仏)。
人々を苦しみから救済するために現れた如来。などそれぞれ役目をもって現れる。また、如来が人間を超越した存在であることを示すため、三二相八〇種好(さんじゅうにそうはちじっしゅこう(ごう))という身体的特徴が付与されています。
如来には以下の種類があります。
釈迦如来(しゃかにょらい)
阿閦如来(あしゅくにょらい)
阿弥陀如来(あみだにょらい)
薬師如来(やくしにょらい)
毘盧遮那如来(びるしゃなにょらい)
大日如来(だいにちにょらい)
多宝如来(たほうにょらい)
五智如来(ごちにょらい)
如来像は 螺髪(らはつ)、光背(こうはい)、衲衣(のうえ、粗末な衣一枚)、九品印(くぽんいん)、蓮の台座(だいざ ※れんげざ)が特徴です。
釈迦如来(しゃかにょらい)
釈迦如来は、苦行の末に悟りを開いて、人間から仏になったお釈迦さまのことをいいます。
お釈迦さまが仏教の始祖(しそ)であることから、釈迦如来に対する信仰は、時代や場所を問わず盛んで、日本でも多くの宗派で信仰されています。また、仏教が伝来した国々では多くの釈迦如来像が建立されています。
阿閦如来(あしゅくにょらい)
阿閦如来(あしゅくにょらい)は、大日如来の元で修行して悟りを開いた 東方の妙喜国という浄土に住む仏です。梵名は「アクショービヤ(揺るぎないという意味)」といい、阿閦仏とも呼ばれます。真言密教における金剛界五仏の一つで、真言宗の寺で拝観できます。
阿閦如来の信仰は盛り上がらず、仏像はとても少ないです。
阿閦如来像は、東寺・阿閦如来坐像が有名です。
インドの仏像では、阿閦如来が多く登場します。東京国立博物館では、インドの仏像が展示されています。
阿弥陀如来(あみだんにょらい)
阿弥陀如来は、寿命が無限であることから無量寿如来(むりょうじゅにょらい)ともいわれ、インドの国王がモデルとされています。
この国王は、王位を捨てて、師である世自在王如来(せじざいおうにょらい)によって示された極楽浄土に往生するための四八の誓願を立て阿弥陀如来になったもの。
この誓願の一つによって、阿弥陀如来は自分を信じる者すべてを極楽浄土に往生させることを誓った。
薬師如来(やくしにょらい)
薬師如来は、病気平癒などの現実的な願い事をかなえてくれるといくことから人気がある。
薬師如来は、まだ菩薩であったころ、衆生(しゅじょう)を救う為に12の大願を説き、その中に「除病安楽」が説かれており、これはどのような病気も治すというものであった。また。このほかのにも衣食を満たす、悩みを解決する、地獄へ落ちないように導いてくれる、とった現世利益が説かれていることから、古来より多くの人々の信仰を集めた。
毘盧遮那如来(びるしゃなにょらい)
毘盧遮那如来(びるしゃなにょらい)は、釈迦如来、阿弥陀如来、薬師如来 など 如来の元締めのような存在の仏です。大日如来と同じであるともいわれ、梵名は「マハー・ヴァイローチャナ(虚空にあまねく存在するという意味)」と呼ばれます。
毘盧遮那如来像は、唐招提寺・毘盧遮那仏像が有名です。
大日如来(だいにちにょらい)
大日如来は、お釈迦様がまだ王子だったころの姿をモデルにしているとされている。通常、如来は華美な装身具を身に着けないが、大日如来だけが宝冠・瓔珞(ようらく)などで着飾っている。
これは、大日如来が宇宙の真理を神格化した真言密教の教主であることから、王者の装いである菩薩の姿が相応しいとされたためです。
多宝如来(たほうにょらい)
多宝如来(たほうにょらい)は、法華経に登場し、釈尊の説法を賛嘆した仏です。(上の画像は日蓮宗 本尊の三宝尊です。)梵名は「プラブータ・ラトナ」といい、法華経に登場する「東方の宝浄国の教主」とも言われています。
日蓮宗・法華宗では、釈迦如来に次いで重視される仏です。
多宝如来像は 東大寺・戒壇院の 釈迦如来・多宝如来像 が有名です。
五智如来(ごちにょらい)
五智如来は、五大如来ともいい、密教の金剛界曼荼羅(こんごうかいまんだら)に登場する仏で、大日如来の備える5つの智慧(ちえ)を5つの如来にあてはめたもの。
五智如来は 東寺・立体曼陀羅の如来部 が有名です。
大日如来を中心に東西南北に配置され、東に阿閦如来(あしゅくにょらい)、西に阿弥陀如来、南に宝生如来(ほうしょうにょらい)、北に不空成就如来(ふくうじょうじゅにょらい)がいる。
1世紀にガンダーラで 仏像 が誕生した時代の崇拝の対象は釈迦如来像だけでした。
しかし、人間は多様な願いを持つため、個々の願いを叶える仏が次々に考え出されていきました。
文殊菩薩を学問の仏、弁財天を芸能の仏とする信仰は、そもそも人間の欲望から来るものだったのです。
阿弥陀如来は人々を極楽浄土に導く仏として、極楽往生を願う人々に広く信仰されました。
日本では通常は阿弥陀如来像、釈迦如来像に病気を治すご利益のある薬師如来像を加えた三体の 仏像 が最も権威のあるものとされています。