仏教のことば:「山伏(やまぶし)」

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山伏(やまぶし)

修験道の行者。

山伏とは、日本特有の山岳信仰にもとづく修行者のこと。

山岳で修行することによって超自然的な力を体得し,その力を用いて呪術宗教的な活動を行うことを旨とする修験道の宗教的指導者。
山に伏して修行することから山伏と呼ばれた。
山臥とも書く。
また験を修めた者という意味で修験者,一宗一派にかたよらず諸山を歴訪するところから客僧ともいわれる。
日本では古来山岳は霊地としてあがめられていたが,奈良時代以降仏教や道教の影響で山岳で修行し,験力をえて呪術を行う者があらわれてきた。
出典 株式会社平凡社

日本の山には『神霊が宿る』と古来から山岳信仰(さんがくしんこう)があり、その神聖な奥深い山で修行をすることで超自然的な力が宿ると信じられている風習があるのです。
山にこもり修行をする人を昔から『山伏(やまぶし)』と呼ばれいます。

山伏(やまぶし)とは、山に籠って修行を行うことによって超自然的な力を身につけ、その力によって祈祷(きとう)や呪術(じゅじゅつ)などを行い庶民に知恵を広めるのを役割としている人のことです。

山伏が爆発的に増えていた時代が江戸時代、日本の国民のほとんどが農作物を育てることを生業にしていたことから雨乞いをし虫送りを避けることができると噂のある山伏は大変重宝されていたのです。

150年前の明治維新政府による「神仏分離」以前まで修験者と呼ばれていた。修験道の修験者である。

山伏の俗世離れした独特な姿は、天狗やカラス天狗も同じ格好だとよく言われます。

神霊な山に入り人とは違う力を身につける山伏ですが、しかし山伏が天狗になったという話はありません。

何ヶ月も山にこもり厳しい修行に耐えるので、人里に降りたときの姿を『天狗だ!』と勘違いされたのでしょう。

山伏の仕事は人々の健康のためのもの、薬草にも非常に詳しくなることで、良い意味で天狗に例えられたと考えて良いでしょう。

山伏の行う修行のことを、修験道(しゅげんどう)といいます。

修験道とは、山での厳しい修行によって悟りを得ることを目的とした、日本独特の宗教です。修験者(修験道を実践する者)は山に伏して修行を行うことから、山伏といわれるようになりました。

山伏は、神社仏閣に所属する人(僧侶や神職)がなることが多いですが、普段は社会人として働く人も山伏になることがあります。

修験道では十界修行(じっかいしゅぎょう)と呼ばれる、次のような10種類の修行が行われます。

地獄界……地獄の苦しみに耐える修行
餓鬼(がき)界……空腹と渇きに耐える修行
畜生界……労働の苦に耐える修行
修羅界……厳しい苦行に挫けそうになる心を克服する修行
人間界……懺悔反省によって仏の心に生まれ変わる修行
天道界……山頂からの眺めを楽しみ、喜びを感じる修行
声聞(しょうもん)界……喜んで仏の教えを聞く修行
緑覚(えんがく)界……大自然と一体になり、迷いを振り払う修行
菩薩界……助け合い・奉仕の修行
仏界……仏と一体になって世界平和を祈る修行

死と再生(生まれ変わり)の意味を持つ十界修行には、断食や火渡りなど大変厳しいものもあります。これらの厳しい修行を乗り切った者だけが、本物の山伏になることができるとされています。