仏教のことば:「施主(せしゅ)」

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施主(せしゅ)

布施を行う当主。
自ら財物を投じて法会を開き、僧尼を供養する人。
また儀式を営む当主をもいいます。
善知識(ぜんちしき)
人に正法を説いて、仏道を導き、縁を結ばせる高徳の人。


喪主(もしゅ) という言葉は皆さんご存知だと思います。その役割は、一般的に葬儀における遺族代表という認識です。それに対して、施主(せしゅ) はあまりご存知でないと思います。

時代の流れとともに、「施主」という言葉はあまり使われなくなりました。喪主と施主には、厳密には違いがありますが、あまり気にされなくても良いと思います。

家族葬など小さいお葬式が主流である現在では、「喪主=施主」 というパターンが一般的です。

●喪主
お葬式における実務的な代表です。
「喪に服す主(あるじ)」 という意味で、「①葬儀社との打ち合わせ ②連絡窓口 ③参列者への応対・挨拶 ④出棺時などの挨拶」 などが大きな役割となります。喪主となる人に男女の性別・年齢は関係ありません。

●施主
お葬式における金銭的な面での代表です。
「布施する主」 という意味で、葬儀の費用を負担して運営する責任者。喪主のサポート役です。簡単にご説明すると葬儀費用を負担(支払う)する人です。

喪主(もしゅ、そうしゅ)を辞書で調べると「葬式を営む主人」とあります。
文字通り「喪に服する主」という意味で、遺族の代表ということです。
一方で施主(せしゅ)は辞書には「現在では葬式や法要などの当主をさす」とあり、これだけだと喪主と同じですね。
ただしもう一文「元来布施をなす人という意味で、仏教の僧侶に供養する人をさす」という説明もあります。
つまり本来の施主は「お布施をする主」という意味で、お葬式のときの費用を負担する人ということなんです。
日本では旧民法の「家督相続制度」があった時代から現代まで、故人の財産の筆頭相続人が遺族を代表する喪主であり、お葬式の費用を負担する施主となるため、基本的には同一人物です。
ただし中には次のように喪主と施主が異なるケースもあり得ます。

喪主は故人の配偶者がつとめ、お葬式の費用は子どもが負担するために、子どもの代表者が施主になる場合。

社葬・団体葬などで、費用は会社(団体)がもつために施主となる場合(喪主は遺族代表です)。

「遺族の代表者」としては一般的に「施主」ではなく「喪主」が使われます。
葬儀会社の人が「施主さま」というのは費用面の話をする相手だからなんですね。
なお、喪主という呼び名は、喪に服している期間だけです。
四十九日(忌明け)の法要が済めば喪主ではなくなります。
それ以降の年忌法要などでは「お布施をする主」つまり施主と呼ばれるようになります。

「施主」にはもう1つ「建築主のこと。施行主」という意味もあります。建築工事や土木工事の発注者のことを指し、個人だけでなく法人も施主となります。施工主という意味からは、1棟まるまる建築する場合だけでなく、リフォームや家の一部を改築する場合なども「施主」と呼ばれます。この場合には「せしゅ」だけでなく「せぬし」と呼ばれることもあります。日本語のややこしいところですね。