仏教のことば:「六波羅蜜(ろくはらみつ)」

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六波羅蜜(ろくはらみつ)

悟りの彼岸に至るために修行する六種の徳目。
本当の幸福を得るための六つの条件六波羅蜜 布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧

大乗仏教で説く悟りの彼岸(ひがん)に至るための六つの修行徳目。六度とも。布施(ふせ)(完全な恵み,施し),持戒(戒律を守り,自己反省する),忍辱(にんにく)(完全な忍耐),精進(しょうじん)(努力の実践),禅定(ぜんじょう)(心作用の完全な統一),智慧(ちえ)(真実の智慧を開現し,命そのものを把握する)の六つ。智慧は他の五徳目の根拠となる。
出典 株式会社平凡社

六波羅蜜とは、この世に生かされたまま、仏様の境涯に到るための六つの修行をいいます。波羅蜜とは彼岸(悟りの世界)に到ることです。

布施 ふせ ほどこす

人のために惜しみなく何か善いことをする。善行には有形と無形のものがあります。有形のものを財施といいます。お金や品物などを施す場合です。
無形のものは、
・知識や教えなどの法施
・明るく優しい顔で接する眼施・顔施
・温かい言葉をかける言施
・恐怖心を取り除き穏やかな心を与える無畏施
・何かをお手伝いする身施
・善い行いをほめる心施
・場所を提供する座施・舍施、などがあります。

見返りを求めない応分の施しをさせていただく事をいいます。貪欲の気持ちを抑えて、完全な恵みを施すことです。布施行は物質だけではありません。

施しは、施す者、施しを受ける者、施すもの、すべてが清らかでなければいけません。欲張りのない心での行いを施しといいます。あえて善行として行うとか、返礼を期待してはいけません。また受ける側もそれ以上を望んだり、くり返されることを期待してはいけません。

持戒(じかい)(つつしむ)

本分を忘れずにルールを守った生き方で、人間らしく生活することです。自分勝手に生きるのではなく、互いに相手のことを考えながら、仲良くゆずりあっていく生活です。

道徳・法律等は人が作り現在はますます複雑になっています。私たちは高度な常識を持ち、瞬時瞬時に自らを戒める事が肝要です。

忍辱 にんにく)(しのぶ

悲しいことや辛いことがあっても、落ち込まないで頑張ることです。物事の本質をしっかりとおさえて、時には犠牲的精神を持って困難に耐えることです。

如何なる辱めを受けても、堪え忍ぶことが出来れば苦痛の多い現代社会において、自らが他の存在に生かされていることがわかり、全ての人の心を我が心とする仏様の慈悲に通じることとなります。

精進 (しょうじん)(はげむ)

まずは最善をつくして努力すること。良い結果が得られても、それにおごらず、さらに向上心を持って継続することです。

不断の努力をいいます。我々人の生命は限りがあります。ひとときも無駄にすることなく日々誠心誠意尽くすことです。

禅定 (ぜんじょう)(心身を静める)

心を落ち着けて動揺しないこと。どんな場面でも心を平静に保ち、雰囲気に流されないことです。

冷静に第三者の立場で自分自身を見つめることをいいます。

智慧 (ちえ)(学ぶ)

真理を見きわめ、真実の認識力を得ること。人は誰でも生まれながらにして仏様と同様の心を持っています。欲望が強くなると、単なる知識だけで物事を考えるようになります。知識ではなく智慧の心を以て考えることです。

我々は本来仏様の智慧を頂戴してこの世に生をうけております。しかし、貪りや怒り愚痴によってその大切な智慧を曇らせてしまいがちです。 布施・持戒・忍辱・精進・禅定の修行を実践しどちらにもかたよらない中道を歩み、此の岸から彼に岸へ。

六波羅蜜が由来である短なことの例えの一つは、お仏壇やお墓へのお供え物です。

・布施はお水
・持戒は塗香(ずこう)
・忍辱は供花
・精進は線香
・禅定はご飯
・智慧はロウソク

をそれぞれ表しています。