仏教のことば:「八宗(はっしゅう)」

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八宗(はっしゅう)

平安時代にひろまった八つの宗派。

倶舎・成実・律・法相・三論・華厳・天台・真言をいいます。


日本に伝来した仏教の八つの宗派。
南都六宗の倶舎 (くしゃ) 宗・成実 (じょうじつ) 宗・律宗・法相 (ほっそう) 宗・三論宗・華厳宗および平安二宗の天台宗・真言宗の称。
八家。

平安時代までに日本に伝来した仏教の宗派。
南都六宗の華厳(けごん)、法相(ほっそう)、三論、成実(じょうじつ)、倶舎(くしゃ)、律の各宗に、北京(京都)の天台・真言の2宗を加えたもの。
日本仏教の根幹となるもので、八宗兼学は仏教を学ぶものの基礎とされた。出典 株式会社平凡社

主要八宗とは日本の代表的な仏教の八つの宗旨のことで、日本八宗とも言います。

天台宗・真言宗・浄土宗・浄土真宗本願寺派・浄土真宗大谷派・臨済宗・曹洞宗・日蓮宗を指します。

八宗・十宗(はっしゅうじっしゅう)
八宗は俱舎・成実・三論・法相・律・華厳の南都六宗に、平安時代の天台・真言の2宗を加えたもの。
十宗は、八宗に浄土・禅の2宗を加えたもの。
日蓮大聖人の時代までに日本に伝えられていた仏教の全宗派。

八宗綱要(はっしゅうこうよう)

八宗というのは、奈良時代に日本に伝わった六宗と、平安時代に最澄(さいちょう)と空海(くうかい)によってそれぞれ創始された二宗とのことであり、それら各宗の歴史と教義とが、簡明に記述されているので、一種の日本仏教入門書として、古来多くの人びとによって読まれてきた。

上巻には、序説に続いて、倶舎宗(くしゃしゅう)・成実宗(じょうじつしゅう)・律宗(りっしゅう)についての記述があり、下巻には、法相宗(ほっそうしゅう)・三論宗(さんろんしゅう)・天台宗(てんだいしゅう)・華厳宗(けごんしゅう)・真言宗(しんごんしゅう)について述べた後、禅宗(ぜんしゅう)と浄土宗(じょうどしゅう)とについても簡単な紹介がなされている。

問答体によって各宗の宗名・典拠としての聖典・伝承の系譜・主な教義、といったものが概説されており、しかも、インド・中国・日本へと仏教が伝えられたその簡単な歴史も含まれているので、きわめて便利な日本仏教の解説書といってよいだろう。

『八宗綱要』では、①倶舎宗、②成実宗、③律宗、④法相宗、⑤三論宗、⑥天台宗、⑦華厳宗、⑧真言宗の八宗の教理を順次に説いている。
聞き慣れない宗派があるが、それまでに日本に伝わっていた宗派である。
凝然の同時はすでに法然や親鸞の浄土教や、栄えい西さいの臨りん済ざい宗しゅう、道どう元げんの曹そう洞とう宗しゅうなどの鎌倉新仏教が興おこっていた。
そこで禅と浄土教も無視できずに、付録として禅と浄土教とを簡単に述べているので、禅と浄土教をいれれば十宗となる。

中国でできた宗派が、そのまま伝来したものが「南なん都と六ろく宗しゅう」と呼ばれるもので、①倶舎宗・②成実宗・③律宗・④法相宗・⑤三論宗・⑦華厳宗である。
しかし、実際には①倶舎宗は④法相宗の付属とされ、②成実宗は⑤三論宗に吸収され、さらに双方とも⑦華厳宗の東大寺三論院で研究が続けられた。
⑥天台宗と⑧真言宗は、それぞれ最澄と空海が持ち帰り開宗したものであり、平へい安あん二宗とも呼ばれる。

日本では宗派が中心で、その境を超えた研究がされることは少ないが、中国では研究をする学派という意味で、寺ごとに宗派の色合いが違うなどと言うことはなかった。
さらに、中国では各部ぶ派はが伝えた戒律の異同が問題となって律の研究が進められ、③律宗ができるが、インドでは部派ごとに戒律が守られており、そのような宗派や学派が存在しなかった。
ちなみに、中央アジアも含めて基本的には説一切有部の戒律が中心であり、授戒も有部に従ったと見られている。