仏教のことば:「追善(ついぜん)」

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追善(ついぜん)

死者の冥福を祈るため後から善事を営むことです。
「追」には「後に従う」「追いかける」という意味があります。
「善」は仏教上の善行をあらわします。


追薦とも書く。
死者のために仏への善根をなすこと。
造寺,造塔,造像,写経,供仏,施僧などがその内容である。
平安時代中期の貴族たちによる造寺・造塔の流行の一つの原因であった。
その代表的なものが藤原道長建立の宇治木幡の浄妙寺である。
これに対し庶民は石の塔を積むことでも作善(さぜん)になるというので河原に出て石塔(しやくとう)を行った。
石造の卒塔婆(そとば)(五輪塔,宝篋印塔,板碑など)はこの信仰の中からおこった。
出典 株式会社平凡社

追善供養とは生きている者が善い行いをして、その功徳を亡き人に振り向ける、ということになります。
つまり、亡くなった後に、残された人が善行を代わりに積んであげることにより、亡くなった人が徳を積み、極楽浄土に行けるようにするというものです。

追善供養と同様の意味で追福(ついふく)・追薦(ついぜん)という場合もあります。

故人の命日に法事を行い、冥福を祈って供養することをいいます。

追善の文字があらわすように、生きている人が行う善行を持って、亡くなった人の善行になる、それがまた自分に戻ってくるという考え方です。

追善供養は広い意味では「毎日の供養」をさし、狭い意味では「年回忌の法要」をいいます。

一周忌、三回忌などには、菩提寺に頼んで、読経などの供養をします。

親戚など故人と関係の深い人を招いて法事を行います。

法事に限らず仏壇を整え、手を合わせることも大切な供養です。
お供えをあげ、読経するようにします。

お墓は近ければ定期的に、遠方でも年に何度かは子どもや孫を連れて出かけて、墓石をきれいに掃除しておきたいものです。

また、これらの直接祖先への供養だけでなく、仏教的な行いはすべて追善供養になるという考えから、寺院の掃除の手伝いや、行事に参加することなどの寺院への善行も、追善供養となります。

追善供養は死者を供養する行為ですから、日々仏壇に手をあわせたり、お経をあげたりする、お墓参りをするということも立派な追善供養なのですが、狭義では亡くなった人の命日に法事を営んで供養することを指して追善供養ということが多いです。

法事とは死者を偲んで、かかわりの深かった人で集まり冥福を祈り、お経をあげてもらって供養する仏事のことです。

そのあとに墓参りをし、宗派によっては卒塔婆供養をし、法要のあとには僧侶と参列者での会食を設けたりする場合もあります。

法事として行なわれる追善供養については、亡くなってから何日目、何年目という風に法事を行う日が決まっています。

忌日法要

日単位の法要は忌日法要(きびほうよう)と言いますが、亡くなった日を含めて数え、七日ごと、四十九日の忌明けまで行なわれます。
仏教では故人は7週間、冥土と現世をさまよい、7日ごとに7回の審判を受けるとされていることから、死亡した日から7日ごとに7回の追善供養として法要が行われます。

現代では7日目の法要の初七日は葬儀当日に行われることがほとんどで、また初七日と7回目の四十九日法要以外は省略されることが多いです。

逝去してから四十九日までの期間を「中陰」と呼び、その間の七日ごとに営まれる法要が「中陰供養」です。

一般的に「初七日」「二七日(ふたなのか)」などと呼ばれる法要です。

亡くなった人は四十九日まで七日ごとに、閻魔大王の前で転生のための裁きを受けると言われています。

その裁きが良き方に進むよう、追善供養を営んでこちらから善行を送るのが、中陰供養です。

最近では葬儀と同じ日に初七日を営むことが増えています。

また、「満中陰」の四十九日には僧侶に読経を頼み、参列者を招いて忌明けとします。

100日めの供養が「百か日法要」、毎年の故人が死亡した同月同日(祥月命日)に行うのが「年忌法要」です。

一周忌は亡くなった翌年に、三回忌は2年目に行います。
三回忌以降は亡くなった年を含めて数え、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌、五十回忌、百回忌まで法要はあるとされています。
一周忌や三回忌は親族や友人を招いて、それ以降は近親者のみでというケースが多いようです。

年忌法要とは、命日から一年目、三年目、七年目、十三年目、十七年目、二十三年目、二十七年目、三十三年目、五十年目と、節目の年に営まれる法要です。

一周忌法要は命日から満一年目となりますが、三回忌以降は亡くなった年を含んで数えるため、実際には二年目、六年目、十二年目などの命日に営まれます。

一般的には一周忌から三回忌までは僧侶の読経が行われ、参列者を招待します。

七回忌以降の法要は規模を小さくして、遺族だけで故人を偲ぶことが多くなります。

宗派により、三十三回忌で故人は菩薩の道に入り、長い修行が終わると言われており、一般的にはこれが最後の法要(弔い上げ)となります。

母親の七回忌と、祖父の十三回忌など、同じ年に二人以上の重要な法要が重なる時は、法要を合せて行うこともあります。
これを「合斎」といいます。